太田の製造シリーズ Lzipキーケース

こんにちは。いつもpelletteria ibonaのブログをご覧いただきありがとうございます。

前回好評?だった太田の練習、製造の様子ですが、ちょっとしたシリーズ化をしようかと思います。今回作るのはこちら

Lzipキーケースです。ibonaでは3種類の革、合計13色と大変豊富なカラバリで製造しています。現在でもこんなにたくさんのカラーがありますが、今後ほかのカラーもでてくるかも?

[全2色]ポップス・キットスキン / L-ZIPキーケース

[全5色]クラックゴート / L-ZIPキーケース

[全6色]ナチュラルオイルワックス / L-ZIPスマートキーケース

スマートキーが増えてきた昨今では、以前からよくある縦長の四角いキーケースでは不便ですよね。厚みのあるスマートキーはそんなキーケースには入りません。そこで開発されたこの形。絶妙な幅のマチがあるため一般的なスマートキーであればほとんどのものが収納可能です。昨年マイナーチェンジされた新型では、金具の形を変えることで以前製造していたものより開きがよくなり取り出しやすく、収納サイズも少しアップしています。デザインも高級感がアップしました。

実はこのキーケース、以前の記事

初ブログ!

でも書いていますが、私が初めて作った製品でもあります。入社してすぐだったのでミシンの扱いも革の扱いも全く分からないなか、製品が出来上がるまでの流れを知るために一度作ってみました。あの時と比べると成長したな~と感慨深いです。もちろん商品を作るのはまだまだですけどね。

ということで私の成長記としてもお付き合い下さい。レザークラフトとしてもとても作りやすいものでもありますので参考にしていただければと思います。

工程は以下の通り

①裁断(先抜き)

②貼り合わせ

③裁断(後抜き)

④コバ面の処理

⑤ファスナーの貼りこみ

⑥ファスナーの縫製

⑦金具付け、検品、仕上げ

 

以上で完成です。前回のスリムウォレットに比べると大体半分くらいの工程になります。

今回使用した革は表裏ともに柔らかくしなやかなピッグスキンを採用しました。表にはパイソンのプリントとその上にフィルム加工された革を使います。裏にはナチュラルなピッグスキンの使用です。せっかく作るので奥さんへのプレゼントにしようと思い、手へのなじみと手触りをよくするため、女性好みの柔らかさを重視して作ってみました。

それで早速始めます。

①裁断(先抜き)
まずは裁断です。今回使用するのはパイソン柄なので模様のバランスを考えながら裁断していきます。先抜きなので製品より少しだけ大きめになります。
②貼り合わせ
例のごとく貼り合わせていきます。注意点は以前の記事
ibonaの現場をご覧ください。
今回もしっかりずれましたが、後抜きをするので無問題。ただ、後抜きを考えながら貼り合わせをしなければいけません。製品によって後抜きのための余裕が大きいもの小さいものがますし、付けるパーツの位置が上下左右に等間隔になるように後抜きをするものもあります。
あらかじめ設定された範囲内にとどめないと全体のバランスが崩れたり、コバ面がずれたりして後抜きをする意味が無くなってしまいます。
③裁断(後抜き)
もう一度裁断していきます。繰り返しになりますが、これをすることでコバ面が整います。最終的なクオリティを決める大事な工程です。意外とこの後抜きをしていない製品も販売されていますが、ibonaでは絶対に欠かしません。
後抜きするとサイズは完成品と同じになります。このくらい余白を抜きますので貼り合わせがこれ以上ずれると大問題になります。今回のパイソンなど、柄のあるものはここで最後のバランスを見ていきます。
④コバ面の処理
この段階でコバ面を処理していきます。今回は前回と違いコーティングをせずに断面をナチュラルに仕上げる処理をします。専用の薬品とひたすら磨く処理です。本来貼り合わせで作る製品は前回のようにコーティングを施します。が、顔料を塗るの苦手なんですよね。少しさぼってみました。前回との違いを出すためということでご容赦ください・・・
その後に先の工程に必要な当たり(目印)などを付けていきます。
⑤ファスナーの貼りこみ
ファスナーの貼りこみです。方法や注意点は前回と一緒ですが、スリムウォレットに比べてカーブのRがきついのでヒダを均等にしていくのが難しくなります。
使うのはこの道具たち。革で作った型と金づち、カッターです。ファスナーを寄せるときに錐を使う人が多い名進の工房ですが、私はカッターの峰側を使います。錐よりも薄いのでより繊細に寄せることができる気がします。使い慣れているということもあるかもしれませんね。
貼りこめました。表からは綺麗に貼りこめましたが、ヒダが均一でなくへたくそですね。ポイントとしてはファスナーの始点と終点は少し内側に入れる事。こうすることで開け閉めしやすくなり見栄えも綺麗になります。
⑥ファスナーの縫製
ファスナーのミシン掛けです。革の縁から程よい間隔で縫っていきます。
製品の用途によって使用する革の厚みはまちまちです。さらに革が変われば同じ厚みでも固さが変わるためミシンの糸のテンションや動き方など変わっていきますので注意が必要です。カーブの部分はミシンを踏み続けて縫いきるのが一番ですが、どうしても止めて進む角度を変えなければいけない時もあります。その際は針を落とした状態で角度の調整をします。でないとピッチが変わり見栄えが悪くなってしまいます。それなりにはミシンをかけれるようになってきましたが、圧倒的に苦手なのがミシンの終点です。始点と対称になるように終えなければならないのですが、どうしてもずれが出てしまいます。あと一針行くか行かないか、そうなってしまったら時すでに遅し、最後の一針のピッチは大きいか小さいかのどちらかにしかなりません。もっと手前から調整していく必要があります。
縫製が終わると糸を必ず裏にひいて見えないところで処理をします。
今回はそれなりに綺麗にファスナーを付けることができました。以前はカーブのファスナーがうまく貼りこめないため、ぼこぼこになっていました。
貼りこみの時に可能な限りふっくらと貼りこむことが綺麗に貼るコツかなと思います。どんな作業でもいえることですが、作りやすい、やりやすい状態より少し作りにくい状態で仕上げるのが一番きれいに仕上がる気がします。このファスナーの貼りこみはふっくらとさせればさせるほど貼りこみは難しくなりますが綺麗になります。毎回自分の限界に挑戦です。
⑦金具付け、検品、仕上げ
金具を付けてほぼ完成です。今回は練習ということで以前のバージョンの金具を使用します。
これで完成です。
ファスナーのスタートもずれずに仕上がりました。
革がブラウン系なのでコバ面がナチュラル仕上げでも気になりませんね。
以上でLZIPキーケース編になります。
次回はレビュー特典のキーリングなるのかな?
乞うご期待ください。
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