新作スニーカー登場&ベロア、スエード、ヌバックなどの起毛革について

こんにちは。

イボーナwebショップの加藤です。

 

先日ベロアレザーを使った新作スニーカーをリリースしました!

▲ソフトキップベロア/ストレートチップレースアップスニーカー

 

商品については最後に書こうかと思っていますが、

イボーナでは初めて使う素材だったので今回は、

「ベロアレザー」

について。

というよりも、ベロア、スエード、ヌバックなどの起毛系のレザーについて、いろいろと書いていこうと思います。

 

起毛革にもたくさんの種類がある

「本革仕様!」という商品はたくさんありますが、一言本革といっても、

とてつもない種類があります。

これも本革あれも本革。です。

そんな本革の中の起毛革ですが、ベロア、スエード、ヌバックの中でも、さらにたくさんの種類に分かれます。どれも、靴では頻繁に使うので、工房にある革を使いながらさらっと解説していきます。

 

そもそも起毛革とは

起毛革とは革の表面が毛羽立っていて、「サラサラ?」「ボサボサ?」という表現で正しいかはわかりませんが、とりあえず表面に細かな毛が立っている状態の革の事です。

▲左:スムースレザー 右:起毛革(ベロアレザー)

種類ごとに順番に解説

スエード

スエードとは仔牛や山羊革などの革の裏面をペーパーなどで毛羽立たせた起毛革です。

工房にはシープ(羊)やピッグスエード(豚)などもあり、基本的に小さな革で、薄いものが多いです。発色が良いものも多いです。

薄いため、裏張り(裏面に補強材を張り合わせ)をして使う事も多く、起毛素材の中では流通量も多い一般的な素材と言えるかもしれません。

▲こちらはピッグスエード(豚革)の表面にプリント、フィルム加工を施したレザーで、イボーナの姉妹ブランド[ZUCCOTTO/ズコット]で人気の素材です。こちらも裏張り(布)が施してあります。

 

ヌバック

ヌバックというのは大判の牛革の吟面(表側)を起毛させたもので、毛足が非常に短く、なめらかな質感が特徴です。スエードと比べて、高級なアイテムに多く使用されており、上品な印象がある、少し高級なレザーです。

若干の光沢があり、牛革を使っていることもあり、革自体の厚みがしっかりとあるのが特徴です。

▲こちらの写真はヒョウ柄のプリントを施したレザーですが、実は下地にヌバックが使われています。

一般的にプリントを施している革は豚などの革を使っている場合が多いですが、豚革の場合は漉き加工がしにくかったり、厚みも非常に薄い為、裏張りといって裏面を布地で補強する事が必要でしたが、こちらのヌバックプリントの場合は厚みもしっかりと確保している為そういったことが不要な素材です。

 

このようにヌバックといっても、そこからさらに加工を施した個性的なレザーもあります。

実際に今のヌバックを使用したトートバッグがこちらになります。

ヌバックレオパード/ソフトレザートート ¥11,780

ふんわりとした風合いが女性らしく人気のトートバッグです。

 

ベロア

ベロアの見た目の特徴としては、スエードよりも若干毛足が長く、起毛素材の中でも、最も起毛具合が激しいものです。

ただし、ベロアといっても毛足の長さはさまざまで、さらに、革の場所によっても起毛具合は異なります。本革なので、製品にしても若干の個体差が生まれます、、。

製品になってから見分けるのは少し難しいかもしれませんが、実は、製品になる前の革の段階では簡単に見分けることができます。

 

というのも、スエードが山羊革や羊、仔牛の裏面なのに対し、ベロアは大判の牛革なので革自体に厚みがあります。

 

そして、ベロアの中でも大きく分けると2種類のベロアがあります(あるそうです)。

一つめは表が付いている「吟付きベロア」、もう一つは吟(表)が付いていない床ベロアというものです。分かりやすく言うと、ベロアというのは裏面を起毛させたものなので、表面が表に出ない場合が多いです。

というわけで表面をはぎ取ったベロアと、そのまま残したベロアがあるわけです。

 

正直、工房で使用しているのは床ベロアのみで、床ベロアの方が安価です。

吟付きベロアは靴で使用したことは無く、見たことがありませんが、床ベロアにくらべると高価なようです。

 

そして、今回の新作スニーカーがまさにベロアを使用したものです。

独特な色合いが特徴的ですね。

 

バックスキン

そして、最後はバックスキン。

バックスキンに関してはピックアップする必要が無かったかもしれませんが、バック(後ろ)のスキン(皮)なので、起毛している革を総称して使われている場合も多いですが、正しくは鹿革(オス)の事です。

BACKではなくBUCKというわけですね。

もうひとつの間違えやすい点は、バックスキンには非常に傷が多い場合が多く、表面を起毛させて使う事がほとんどです。そういったことからも混合しやすいですが、あくまでバックスキンというのはオスの鹿革です。

 

ちなみにメスの鹿革をディアスキンと呼びますが、起毛革とはそこまで関係がありません。

個人的には、誰かとお話をしていて、バックスキンというワードが出てきた場合は、

「スエード系のなにかしら」をさしている可能性が高いと思います。

 

種類別にわかりやすくまとめると

-ヌバック

▶毛足が短く、牛革の表を起毛させたやつ。

-スエード

▶毛足が長く、山羊や、羊、仔牛の裏を起毛させたやつ。

-ベロア

▶もっと毛足が長く、牛革の裏を起毛させたやつ。

-バックスキン

▶とりあえず起毛させたやつ。

(で使っている人も多いけどホントはオスの鹿革)

 

という感じで覚えておくと良いかもしれません。

 

起毛革に共通する特徴

起毛している革はもともとは、暖かそうな雰囲気から秋冬ものに多かったのですが、デパートなどを見てみても、今では季節関係なく使われている素材です。

実際にベロアのスニーカーも6月にリリースしていますしね。

 

●使い始めには

スエード系の革は水を浸透しやすいので、使い初めには、防水スプレーの使用をお勧めします。

なお、スプレーについて詳しくはこちらの記事で確認していただけます。

 

●使い終わりには

スエード系の起毛革は埃や汚れが付きやすいので、ブラッシングをして汚れを落とすと長く綺麗に使うことができます。せっかくの本革製品なので、丁寧にケアをして長く使うのも良いかもしれませんね。

※ スエード素材などの起毛革の製品にレザークリームは使えません。毛足がすべて寝てしまうので絶対にやめましょう。

 

起毛革の注意点

あくまで、すべての本革で共通する事ではありますが、起毛している革は色移り(衣服などに色が移る)が起こりやすいです。

本革である以上、色移りを止めることはできないのですが、色移りが起こりやすい原因は水分です。その為、

斜め掛けの鞄で黒いストラップ+白いシャツ+汗

などは、非常に危険な状態!!と言えます。

起毛革は色が移りやすいという理由もあり、イボーナでは起毛素材のショルダー系の鞄の販売しておりません。今後部分使いなどで使う事は考えておりますが、注意が必要です。

ただし、当店で取り扱いはありませんが、色落ちの防止スプレーというものも売っているのでそういったものを使うのは良いかもしれません。

 

新作の「ベロア」スニーカー

起毛系のレザーについていろいろと書きましたが、ここにきてやっと新作の紹介です。

最初に画像を貼りましたが、

柔らかな牛革キップのベロアレザーです。

ベロアレザーはステアという大判な牛革が多いですが、こちらのベロアはキップ(生後6か月~2年)という、もう1サイズ小さい牛さんの革です。

絶妙な色合いと、柔らかさが特徴で、もちろんイボーナのスニーカーなので革靴とは思えない軽さももちろん兼ね備えています。

 

ベロアと言えば、起毛した革の中でも最もカジュアルな印象の強いレザーですが、カジュアルすぎないので、大人のカジュアルスタイルにぴったりな1足だと思います。

 

ソフトキップベロア/ストレートチップレースアップスニーカー ¥15,990

 

また、ベロアレザーは本革の中ではリーズナブルな素材ということもあり、本店で販売しているイボーナのレザースニーカーの中では最安値の商品となります。

 

幅広い年代で、さまざまな人に履いていただけると嬉しいです。

 

 

以上、ベロアなどの起毛素材の特徴や違いについて書かせていただきました。

工房にはたくさんの種類の革を置いているので、今後も少しずついろいろ革の紹介をしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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