革製品の大敵。今度は傷と戦ってみました。

こんにちは。いつもpelletteria ibonaのブログをご覧いただきありがとうございます。

 

いつだったかの記事で愛用しているお気に入りの靴にシミができた事を書きました。

革製品の大敵。水シミと戦ってみました。

実は最近また靴に大ダメージを与えてしまう出来事がありました。

まずは画像から

ちかくでみるとこんな感じです。

しっかりとガリっといっています。ちょっとこすったのではなく体重を乗せてがっつりといきました。階段で転びそうになった子供を抱き上げたときにやってしまいました。

立て続けに起きたのでそんなにショックという事はなく、慣れてしまったのかそんな自分に罪悪感を感じる気持ちの方が強いです。

今回もこれ幸いにと(全く幸いではありませんが・・・)記事にすることにしました。

以前のシミと一緒で傷というのも革製品のトラブル最上位に来るケースだと思います。実際にお店でも靴のつま先の補修などは頻繁に相談があります。

特に女性のポインテッドトウの靴などは捨て寸が長いのでぶつけやすく傷がとてもつきやすい部分です。画像はスタッフのブーツ。スクエア気味のトウですが、それでもこんな感じになることもあります。

他にもキーケースや財布などもバッグやポケットの中でこすれたりして傷がつくことがあります。革の加工によっても傷のつきやすさや目立ちやすさなどに差が出ますが、なるべくきれいなままで傷なく使っていきたい方には、

こんな感じの型押しの革やエナメル加工が施された革を使われることをお勧めします。

型押しではすでに模様が入っていますので傷がついても目立ちにくく、だからなのか傷自体もつきにくい印象です。エナメルについては、革の上にもう一枚樹脂の層がありますのでその層が傷を防ぎ、汚れも防いでくれる優れものです。その分革本来の表情が楽しめなかったり、色移りという別の問題が出てきたりはします。

 

[スタッフの私物紹介]+オイルレザーの”傷”について

でも紹介されていますが、オイルレザーなどは性質上ひっかき傷がつきやすく、目立ちやすい素材です。ですが、少し磨くだけで傷がみえなくなってしまうちょっと特殊な革でもあります。革本来の表情を楽しみつつ傷も目立ちにくくなるとても優秀な革ですね。

ちなみに私の使用している財布もこのサコッシュと同じ革でできています。

こんな感じで小さな傷がたくさんついていますが、ちょっと磨いただけでこんな感じ

真ん中の傷は特に目立たなくきれいになりました。ただ、この財布に関していえば使っていくうちにできた傷も経年変化の一つだと思っているのでそんなに気にもしていません。

 

少し脱線しましたが、革の表面についた傷は磨くことである程度はきれいになります。上のブーツも無色のクリームで磨くことでこんな感じにはきれいになります。

ですが、これはとても浅い傷、上の私の財布も革の深いところまで行っていないダメージなので可能なメンテンナスです。浅いか深いかの見極めは銀面の傷かで判断が出来ます。銀面についた傷であれば磨くだけできれいなることが多いです。逆に銀面がはがれてしまったりするような傷だとまず磨くだけではきれいになりません。

今回取り上げた私の靴は決して浅い傷ではなく、場所によっては銀面が欠損してしまっています。ここまでくると無色のクリームで磨くだけでは全く目立たなくなることはありません。

という事でもう少し頑張る応急処置をしようかと思います。

そんなに繊細ではない私ですので時間にして目標は5分。写真を撮りながら5分で終わらせようかと思います。

方法はとても簡単です。

・バリを取る

・サンドペーパーで磨く

・靴クリームで磨く

以上です。では早速やってみます。よーいドンで5分以内です。

まずはめくれてしまった革を切除します。糸切狭は刃が薄いのでこういう時に便利です。

サンドペーパーで磨き、でこぼこを均していきます。傷より少し広い範囲で磨きます。

磨いた粉を落としたら靴クリームです。この靴は本来パティーヌという手法で染められています。イタリアから仕入れた特別な染料を使い、1足1足を手で何度も染める手法です。残念ながら私には染める技術も染料の色を合わせる技術もありませんので黒の靴クリームを使います。一度に大量に塗らず、少しずつ、薄く薄く重ねていきます。

こんな感じになりました。目標の5分以内です。ぱっと見ではそんなに目立たないかなと思います。自分の靴なのでこんな感じで5分の超時短修理にしましたが、実際にお客様の靴ではお預かりになることがほとんどです。深い傷の場合はペーパーをかけた後に専用のパテで傷を埋めてもう一度ペーパーをかけ色を入れていきます。靴や傷の範囲、革によって専用の絵の具のようなものを使う場合、また、染料で色を作り吹き付ける場合などがあります。

 

今回は簡単で手抜きな傷のケアをご紹介しました。自宅でもある程度のケアが可能だと思っていただけたと思いますが、失敗のできない大切な靴や重症かなと思える傷などはぜひプロにご相談ください。ibonaでも商品のケアや修理にについてのご相談にお応えしておりますのでお気軽にどうぞ。

 

 

 

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