卒業式

いつも pelletteria ibona のブログをご覧いただきありがとうございます。

本日は太田が担当いたします。

2月に入り入学式卒業式シーズンが近づいて来ましたね。このブログを書いているちょうどいまニュースで愛知県のインフルエンザ患者数が全国で一番多いと言っています。インフルエンザと卒業式、この二つの言葉から思い出すのは中学校の卒業式です。そのころも今と同じようにインフルエンザが猛威を振るっていました。卒業式の少し前に高校の入試試験があったのですが、私の地元は小さな島で、島中の受験生が一か所に集まって試験を受けます。当時はインフルエンザだからと特別な措置もなかったので全員がその会場に集まっていました。その試験をきっかけにアウトブレイク、バイオハザードが起こったことは簡単に想像できるかと思います。私を含めたくさんの同級生が感染し、私も点滴を打って卒業式に参加し、晴れの日である卒業式のはずが、卒業生の多くが欠席する事態になってしまいました。ぜひ皆様はそうならないようお気を付けください。

 

私が日中いるzuccottoでは黒のパンプスを中心にフォーマルな靴をお求めのお客様が増えてきました。ヒールの高さやカットの形などいろいろな靴があり、お一人お一人お求めになる靴は違いますが、皆様人生の節目のワンシーンを飾る大事な靴を探しに来られます。私も理想の靴探しのお手伝いができるよう日々頑張っています。

 

卒業といえば少し前の話になりますが、一人の職人さんが株式会社名進を卒業していかれました。山田さん御年78歳。名進でも一番のキャリアを誇る職人さんでした。名進には定年というものがありません。職人の世界ですので年を重ね経験値が増えれば増えるほど熟成されていきます。

名進は創業から60年近く、現在の社長は2代目です。山田さんは現社長の小さいころを知り、社長の結婚式にもその娘さんの結婚式にも、2代にわたって出席されています。それを聞いただけでもどれだけの時間名進に勤められ、どれだけ貢献してこられたのか驚いたのを覚えています。健康に気を使い、毎日朝早くから奥様と散歩をしてから、誰よりも早く出勤していました。

名進で活躍していいただいていたのは主に巻き物と仕上げでした。仕上げは以前加藤のブログにもあったかと思いますが出来上がった靴の最後の工程で、付属品をつけたり、きれいに磨き上げたりする仕事です。巻き物とはレディースの靴に使われることがほとんどですが、ヒールや金具、中底などを革で巻く作業です。下の写真の金具やつま先部分、ヒール部分はすべて山田さんによるものです。

ヒールは特に階段などでぶつけてはがれてしまったりえぐれてしまったりと傷がつきやすい部分かと思います。zuccottoでも、ぶつけてしまった、何とかしてもらえないだろうかと駆け込んでこられるお客様がいらっしゃいます。山田さんはそのようなヒールを丁寧に巻き直し、新品の時と区別がつかないくらいに綺麗に修理をしていらっしゃいました。

今回卒業されるにあたって、最後の日には社内のたくさんの方に囲まれていました。花束やお手紙、大好きなビールなどたくさんのプレゼントを抱え、みんなから感謝の言葉をかけられていました。職人さんといえば気難しく寡黙な仕事人間というイメージを持たれる方も多いかと思いますが、名進の職人さんもそのイメージ通りといえる職人さんもたくさんいらっしゃいます。そんな職人さんも、山田さんには不器用ながらも一言二言声をかけていました。名進にとって山田さんがどれだけ重要な方であったかその姿が現していました。

 

山田さんの卒業は名進にとってとても大きな痛手です。しかし大きく変わり成長していくきっかけにもなったと思っています。若手の職人たちは山田さんの抜けた穴を埋めようと今日も必死で頑張っています。ここ数年で製造の現場も、お客様もニーズも大きく変わってきています。それでも私は物と向き合うことこそ職人の本懐であると思っています。ひたすら物と向きあう職人と、私のようにお客様、人と向き合う人間が合わさることが最高の製品を作り出す力になると思います。社長がモットーとしている創意工夫をこれからもそれぞれの現場で突きつめ、時にはぶつかりながらも同じところを目指していきたいと思います。

 

それでは改めて、山田さん長い間お疲れさまでした。ありがとうございました。

 

株式会社名進

pelletteria ibona

 

by
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。