イタリアンレザーとは?ほんとに良い革なの??本革初心者の方へ簡単解説。
こんにちは!
イボーナ公式オンラインショップの店長加藤です。
今回は”イタリアンレザー”についてザックリと解説していきます。
イボーナはレザーブランドとして日々革製品の製造をしておりますが、
委託品を製造しているわけではなく、
外部へ製造やデザインを外注しているわけでもなく、
製品のデザインや素材選定なども自社で行うファクトリーブランドとして製作しております。
そして、少しずつ製品のラインナップも増え始めていますが、
イボーナでは多くの革製品でイタリアの革を使用しています。
イタリアン・オイルワックスレザー『イージーショルダーバッグ』
しかし、
「イタリアンレザーってなんだろう?」
「具体的に何が良いの?」
と思った事はありませんか??
そこで、今回はイタリアンレザーについて簡単に解説!!
(簡単に解説するので不足情報も盛りだくさん。でも嘘は書きません)
では早速、一つずつ解決していきましょう!!!
イタリアンレザーの定義とは?
イボーナで考えるイタリアンレザーの定義は、
イタリアで鞣された革。
はい。
難しい漢字が登場しました。
要するに、イタリアンレザーというのはイタリアで鞣された革なので、イタリアで生きていた動物の革を指すわけではありません。イタリアで加工がされた革です。
イタリア産の皮ではなく、イタリア製の革という事ですね。
実際にイボーナで使っている
『アラスカ』『アマゾニア』という革は、どちらもフランスの牛さんの皮をイタリアで鞣した革になります。
イタリアンレザーって良い革なのか?
「イタリアンレザーって良さそうな響きだけど、良い革なの??」
というところから解説していきます。
というか持論を話してみます。
結論から言ってしまうと「わからない。」が正解だと思います。
先ずは《良い革》の定義が難しい所ですが、
個人的には、基本的には革の善し悪しは、それぞれの好き嫌いと考えています。
(ただし、長く使えない素材はNGとして)
さて。
あなたはどちらがお好きでしょうか??
わたくし加藤は②が大好き。
ですが、
雨の日は①が安心。
そんなわがまま店長を今後もよろしくお願いします。。。
イタリアンレザーは②の革が超豊富。伝統的な鞣し技術。
イタリアンレザーが良いかどうかは一旦置いときましょう。
次は、イタリアンレザーの特徴をお話しします。
といっても、すべてのイタリアンレザーに共通する話ではありません。
(そこは大事)
イタリアには伝統のあるたくさんのタンナー(※タンナーというのは革の製造メーカーと思ってください)がありますが、歴史あるイタリアのタンナー達が得意とするのが《ベジタブルタンニン鞣し》と呼ばれる手法を使って鞣された革。
これはよく耳にする方もいるかもしれませんが、革初心者の方には言葉がわかりにくい!
☆今回は簡単に説明するための記事なので言い換えましょう☆
《ベジタブルタンニン鞣し》
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
《経年変化が特徴で、天然ならではの革っぽさが残った革》
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
《ナチュラルな革》
お気づきでしょうか??
要するに、《ベジタブルタンニン鞣し》というのはナチュラルな革なので、先ほど書いた②の革に当たります。
②汚れやすく、長く使用すると購入時の色とはかけ離れた色になる革。
ということで、イタリアは《ナチュラルな革》が大得意。
以降、ベジタブルタンニン鞣し = ナチュラルな革 と書かせていただきます!
ただし!!!
イタリアンレザーすべてがナチュラルな革ではありません。
《ナチュラルな革》にはどんな特徴があるのか?
ここはわかりやすく箇条書きでいきます。
長くなってしまうので細かく解説するのは我慢します!
そして何回も書きますが、
すべてのイタリアンレザーに共通する事ではありませんし、イタリアンレザーにもたくさんの種類があるのは頭に入れておいてくださいね。
▲この鞄はすべて同じ革を使っています。
・有害物質/化学物質を使わないので地球にも人にも優しい
・水に弱い
・手入れ次第で長く使える
・経年劣化ではなく経年変化
・牛が生きていた時の傷や、血管の跡がある
・革を作るのに手間がかかる
・牛の傷などが不良品と思われる事がある
・色落ちや色移りが防げない
・製造時期による色ブレが起りやすい
(仕入れタイミングによる色のブレや質感のブレには毎度スタッフも驚くほどだったり。。。)
日本には《ナチュラルな革》は無いの?
結論から言わせてもらうと、日本にもあります!
イボーナでは日本製のナチュラルレザーは扱っていないので深くは書けませんが、
日本にもありまっす!
しかし、イタリアには《ナチュラルな革》を武器としているタンナーが、大量にあります。
そして歴史がとっても長い。
タンナーがたくさんあればいろいろな種類の《ナチュラルな革》が生まれますし、
革の表情を隠さずに、牛革本来のキズなどを隠さない仕上げはイタリアが大得意とする分野なんですね。
▲傷が凄いけど不良品ではないんです。
イタリアには植物タンニン鞣し協会がある
イタリアには《植物タンニン鞣し協会》というものがあります。
協会で認められた革には品質保証のタグをつける事ができるので、タグが付いているものは100%タンニン鞣しであることが保証されるので安心感がありますよね。
そして、そのタグがまたかっこいいわけですよ。
イボーナではタグは同梱していませんが、イボーナが使用しているイタリアの革はすべて協会に認定されているものになっています。
逆に《ナチュラルじゃない革》って何?
ベジタブルタンニン鞣し《ナチュラルな革》を理解する為には、クローム鞣し《ナチュラルじゃない革》を知ることが良いと思います。
ベジタブルタンニン鞣しと、もう一つの鞣しを
《クローム鞣し》といいます。
こちらもわかりやすく箇条書きでいきます。
・革本来の傷を隠せる
・状態の悪い皮も活用できる
・低価格で作れる
・一度で大量に作れる
・経年変化をしない
・流通量が多い
・化学薬品を使う
・比較的水には強い
・色ブレが少ない
・色落ちがしにくい
・均一な仕上がりにできる
▲ツルッとしていて、多少水が付いても弾きます。
ということで、
手間もコストもかかる《ナチュラルな革》に比べて、
コストを抑えてたくさん作ることができる《ナチュラルじゃない革》は流通量が多く、現代では『本革製』と書かれているほとんどの革製品がクローム鞣しの革を使用していると言われています。
《ナチュラルじゃない革》最大のメリット
わたくし店長が考える、クローム鞣し最大のメリット。
それが均一な仕上がりです。
もしあなたが販売員なら
どちらをお客様に届けたいと思いますか?
そうです。
そうそうそうです!
傷がある革製品を販売すると、クレームになるのが恐い。
その通り!
なので、傷が無い革製品の方が安心して届ける事が出来ます。
そして傷が無い革のほうが手に入れやすく安価であることがほとんどです。
それが、クローム鞣しの革の流通量が多い理由です。(個人的見解あり)
しかし”傷が無い”というメリットは、人によってはデメリットにもなります。
「革らしさが無い」
ということですね。
そして、今回のテーマに沿った話に戻すと、
イタリアにだって革らしさが無い革もある!!
という事です。
それがややこしいわけです。
「私イタリアの革が大好き!」
と言っても「イタリアにもいろいろな革があるよね~」
となってしまいます。
結局イタリアの革は良いの悪いの????
良いも悪いも無い。
でもイボーナスタッフはイタリアの自然で優しい革が大好き。
という事になります。
イタリアだからと言って、すべてがナチュラルな革ではありません。
安価に仕入れが可能なクローム鞣しの革もあります。
ですが、安価に仕入れた革が悪いわけではありません。
そしてもちろん高価な革が良いわけでもありません。
さらにめんどくさい事を言うと、高価で素敵なクローム鞣しの革だってあります。
イボーナの姉妹ブランド[ズコット]では素敵なクローム鞣しの革をたくさん使ってます。
ただ、イタリアンレザーについて一つ言える事があります。
日本では、均一に染められた革が好まれる一方、イタリアでは、本革ならではの表情(傷や血管の跡や虫刺されなど)が残っている革を好まれる方が多いそうです。
革の風合いを存分に感じられて、綺麗な経年変化を見せてくれる革がイタリアにはたくさんあります。
革初心者の方へ。革製品の選び方
クロム鞣しでも、タンニン鞣しでも高価なものが良い!!
という事は絶対にありません。
水に強い革が欲しいのに、とりあえずで高価な革製品を選んでしまうと
「めちゃくちゃ水シミになるやんけーー!!!!」
という結末を迎えるかもしれません。
対して、本革ならではの経年変化を楽しみたいのに
「とりあえず本革だから」で選んでしまうと、全然エイジングを楽しめない革製品を選んでしまうかもしれません。
▲写真右はスタッフのエイジングサンプル
イタリアン・オイルワックスレザー『三つ折りコンパクトウォレット』
ということで、イボーナ店長が考える、革製品を選ぶ際の注意点をいくつかご紹介します。
“レザー”というのは本革に限らない。
レザー(leather)を日本語に訳すと“革”です。
合成皮革だって革。
人工皮革だって革。
レザー製などという記載がある場合は、そもそも本革では無い可能性もあるので注意しましょう。
もちろん合成皮革にも良い所がありますが、この記事では本革製品の選び方にフォーカスしていきます。
イボーナは本革製品のお店なので、そこのところよろしくお願いしますね。
イタリアンレザーだからOKではない。
これは何回も書いていますが、イタリアの革といっても種類も価格帯もたくさんあります。
クローム鞣しの安価な素材を使った、安い革製品を選ぶのなら、イタリアの革でも日本の革でもバングラデッシュの革でもあまり大差無い気がします。
(ちなみに、クローム鞣しは安価である事が多いですが、クローム鞣しの高級皮革もたくさんありますよ)
難しいところではありますが、
具体的にどんな革を使っているのか?の記載がある商品
は、革にこだわっているかもしれません。
「イタリアンレザーです。」
「そうです。イタリアンレザーです。」
「馴染みます。」
「使うほどに馴染みます。」
頻繁に見る宣伝文句ではありますが、これではどんな革なのかわからないので、気になる事はスタッフさんに聞いたり、問い合わせてみると良いのではないでしょうか。
素材選定にこだわっているブランドであれば、革好きのスタッフがいたり、商品ページに細かい情報が書いてある気がします。
ただし!!
ここらへんは、加藤の推測の話です。。
イタリア×タンニン鞣しは、写真と違うものが届く?
覚悟してください。
イタリアのナチュラルレザーは個体差が激しいです。
同じ一枚の革でも、裁断する場所によって雰囲気が変わる事はよーーくあります。
というかそれが普通なのです。
小さなお財布などでは、
「これは違う革のお財布ですか??」
と感じる事もあるかもしれません。
▲大き目のシボが激しい個体と、細かなシボの個体。どちらも同じ革、同じ色です。
イタリアン・オイルワックスレザー『L-zipロングウォレット』
オンラインショップの場合は、掲載されている写真と違う雰囲気だったりすることも多いので、そんな個体差も含めてドキドキしてみちゃうのがおすすめです。
▲これは血筋(血管の跡)
イボーナで扱っているイタリアンレザーはまさにそんな感じ。
革が持つ個性を活かして、唯一無二の革製品をお届けしています。
(突然宣伝御免。)
オイルレザーがおすすめ
本革製品はメンテナンス次第でとっても長く使えます。
シンプルなものほど長く使えると思っています。
そんな本革ならではの魅力を味わうために、一つお勧めなのがオイルレザーです。
オイルドレザーとかよばれたりもします。
ぱっと思いつく限り、本革には2つの敵がいます。
お水と乾燥です。
革にお水が付くとシミになることもあります。繊維がギュッと縮まって、乾いた時に変形する可能性もあります。
そして直接水が付いていなくても、湿度の高い所に放置してしまうとカビの原因にもなります。
そして乾燥がお肌に悪い事は皆さんご存じの事と思います。
乾燥を防ぐためにスキンケアクリームを塗ったり、お風呂上がりにペタペタと保湿をしている方も多いのではないでしょうか。わたしの母親は一生懸命スキンケアをしていましたが、きっとあれは乾燥と戦っていたんだと思います。
革製品の場合もレザーケアクリームで保湿する事がありますが、オイルレザーの場合は、革の内部に油分が含まれています。
革を鞣す際にオイルを含ませているので、ケアをしなくても乾燥によるひび割れが起りにくく、綺麗な経年変化を楽しむ事が出来ます。
初心者の方はオイルレザー。
おすすめです。
イタリアンレザーとは?最後に読んでほしい事。
最後に重要な事。
(最後と言いながら何回も書いている内容ですが、、、)
「イタリアンレザーは○○」
といった、絶対の答えは無いと思ってほしいです。
ナチュラル仕上げの革が多いのは事実ですが、全てではありません。
牛革が多いですが、全てではありません。
この記事を書くにあたって、いくつかネットで調べてみると、誤解を招いてしまうような書き方をしていると言わざるを得ない記事もあったような気がします。
(それを信じるとまた微妙な生地が増えていく。。)
イタリアには植物タンニン鞣し協会があるので、品質が保証されている革もありますが、それもすべての革では無いので、
革製品を長く使用していくにあたって、どのように使っていきたいのかをしっかり考えて、革の特徴を把握してから選ぶと良いかと思います。
イボーナでは革サンプル無料サービスしています。
イボーナでは定番素材の革サンプルは無料でお届けしております。
革(イタリアンレザー)の質感が気になる方は商品ページの《お問合せフォーム》より、ご希望の革名や色をお送りください。
さて。
今回は熱く語らせていただきましたが、
次はイタリアンレザーの個体差にフォーカスして撮影していこうと思います。
最後まで読んでいただき有難うございました。
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