靴選びのポイント② 素材の違い 革編
こんにちは。太田です。本日もpelletteria ibonaのブログをご覧いただきありがとうございます。
今月は店長加藤とRINAさんが新作などの製造に忙しくなかなかブログを書く時間がないので私の出現頻度が上がると思います。どうぞお付き合いください。
今回は先日掲載しました記事、靴選びのポイントその②として素材の違いについて書いてみたいと思います。重ね重ねになりますが、私の経験則に基づくものですのですべての方に当てはまるわけではないことをご了承ください。
素材の違いということですが、皆様は靴が何でできているかご存知でしょうか。株式会社名進が手掛ける靴はメンズ、レディース共に本革にこだわり製造しています。ですので答えは革ということになりますが、靴は革だけでできているわけではありません。本底や中底といわれる部材が使われています。ibonaのレザースニーカーを例に挙げると、革でできたアッパーと呼ばれる靴の上の部分、エクストラライトソールやビブラムソールなどの厳選された本底、この2つが外見からもわかるかと思います。それ以外に、中敷きを外してみると、本底とは違う底材があります。これが中底です。通気性がよく、クッション性も持たせた素材です。このアッパー、本底、中底を簡単には交換できない主材料とすると、中敷きや靴紐、ダブルモンクストラップで使用される尾錠などは副材料となります。
簡単にいうと靴はこれらの部材を用いて作られます。レディースですと他にヒールなども入ってきます。
それでは本題。部材の違いによる履き心地の違いですが、まずは革の違いです。
ibonaとzuccottoで使う革はスムースレザー、オイルレザー、シュリンクレザー、エンボスレザー、スエード、ヌバック、パテントレザー等です。
一つ一つ説明すると、スムースレザーとは、表面に加工をせず、ナチュラルな表面を持つ革です。
オイルレザーとは革を鞣す段階でオイルに漬け込み加工をされた革です。
以前に記事で紹介したシュリンクレザー、エンボスレザーはこちらをご覧ください。
スエードとヌバックは見た目が近く、同じものとみられがちですが、スエードは革の裏面を起毛したもの、ヌバックは表面を起毛したものになります。
パテントレザーは革の上にもう一層、エナメルの層を乗せたものになります。
これらの革を靴にしたとき、履き感にどんな違いがあるのか、zuccottoで毎日販売員として接客をさせていただいている身としてご説明します。(私は実際に履くことはできませんが・・・)
前提として、婦人靴は美しさと軽さの面で薄い皮を使うことが多く、紳士靴に比べて寿命が短くなります。
スムースレザーは最も多く使われている革でこれが一つの基準になるかと思います。なのでそれ以外の革についてはこのスムースレザーと比べて、という視点になります。スムースレザーは足当たりの柔らかさや履き心地も柔らかすぎず固すぎずという感じで一番万人受けする素材かと思います。特にibonaでも使用しているカーフはキメが細かくとても美しく、また、バリっとした表面を持ちながらもしなやかで足なじみがいいので革靴初心者の方にはぜひお勧めしたい革です。
オイルレザーは婦人靴で使われることはあまりないのですが、オイルを含む分重くなります。しかしエイジングが一番楽しめる革でもあります。長く相棒として成長を楽しむことを好む男性に人気の革です。オイルがしみ込んでいるので比較的柔らかいものが多い傾向にあります。
次にエンボスレザーとシュリンクレザー。シュリンクレザーは型押しでしわを表現したものとそうでないものがありますが、型押しの物はエンボスレザーと同じと考えていただいていいかと思います。エンボスレザーはその型押しの工程上、固くなります。ですので最初の足当たりは固く履きにくいといった印象を持たれる方も結構いらっしゃいます。逆にこの型押しのアクセントや上品さを気に入ってくださる方もたくさんいます。固い分型崩れしにくいのもこのエンボスレザーの特徴の一つです。型押しでないシュリンクレザーはスムースレザーよりもむしろ柔らかいので足当たりはよくなります。
スエードとヌバックですが、表と裏ということでヌバックの方が固く、その分丈夫な素材です。スエードは発色がよく、綺麗な色のパンプスなどに使われます。革の中では一番といってもいいほど柔らかく足当たりがいい素材です。その代わり伸びやすく型崩れがおきやすい素材でもあります。
最後にパテントレザー、エナメルといったほうが一般的かもしれません。これは固いです。見た目が華やかで美しく、エナメル加工があるため、水にも強くお手入れも楽ですが、エナメルの層が固いため、全体的に固い革になります。
それぞれの革の特徴は上記のようになります。固さの順番は下のようになります。固さは履き心地に大きく関係しますが、必ずしも柔らかいことがいいことではなく、それぞれ履く方の好みがあるかと思います。サイズ感も少し変わり、同じ靴の同じサイズでも固い革のものはきつく感じ、柔らかいと楽に感じます。
【柔】 スエード>シュリンクレザー(非エンボス)=ヌバック=オイルレザー
>スムースレザー>エンボスレザー>パテントレザー 【固】
ちなみにお手入れのしやすさでいうと一気に変わります。
【易】 パテントレザー>オイルレザー>スムースレザー>エンボスレザー
=シュリンクレザー(非エンボス)>ヌバック=スエード 【難】
パテントレザーは水拭きもできるためメンテナンスが簡単にできます。対してスエードなどの起毛素材はクリームが使えず、色が抜けてしまうと元に戻すことが難しいため、メンテナンスがしにくい素材になります。比較的お手頃価格で売られていることも多いスエードですが、長い目で見ると実は贅沢な素材になります。
このような感じで同じ革でも加工の違いでこれだけの違いが生まれます。それぞれの好みや履く頻度、一日のうちに履いている時間、用途やシーンで変わってくるとは思いますが、靴を選ぶ時の一つの参考にしてもらえればと思います。
まずは革として始めましたが、すでにかなりの量になってしまいましたね。今回は革編ということにしてまた次回、本底や中底など別の素材の違いについて書いてみたいと思います。
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