届いたイタリアンレザーを1枚ずつ見ていく。

先日、工房に定番の革がどっさり届きました!
さっそく開封して一枚一枚チェックしていくのですが、裁断前の大きな革も、それぞれ表情が違うので見ていて飽きません。
革製品を沢山見ている方は多いかと思いますが、今回は製品になる前の革の”素顔”を一緒に見ていきましょう!

意外と体力を使う仕事も多いのがイボーナ。
(応募・お問い合わせお待ちしております)

さて、今回届いたのはイタリアン・オイルレザーのブラウンが約1万2000ds(デシ)程。
1ds=10cm×10cmを表す単位で、一枚の革はおよそ150dsほどの大きさです。
今回のDSスタンプはオレンジ色。

革をパッと見てもサイズがわからない為、サイズを表すdsスタンプが一枚につき一か所、裏面に押してあります。
dsスタンプは革が日本に来る前に、イタリアの機械でポンポンと押されており、鞄や小物の裏側にスタンプが含まれる場合もあります。
スタンプの色も数字もその時によって異なりますし、小さいアイテムだとスタンプが入っている方が珍しいので、スタンプ入りが届いた方は「ちょっとラッキーかも」なんて思っていただけると嬉しいです。
革を一枚ずつめくっていく。
今回はこちらの記事で皆さんと一緒に見ていくために、20枚ほど革を机の上に広げました。

「1枚目にはたくさんの線が」

トラと呼ばれる線、血管の跡(線)、なんだかわよくわからないけど、線。
という事で一枚目は線が多めでした。

アップで見るとシボの凹凸もはっきり見えます。
フチっこの形はけっこう珍しい。
「2枚目はふわっ。ふわっ。と」

よく見ると細かい色ムラがふわっ。ふわっ。と。

何かを指さしたのですが、写真では伝わりませんでした。
(何を指したのかも覚えていませんでした)
「わりと標準な3枚目」

手前の方にはほどよいシボがあり、真ん中(背中部分)にはトラがしっかりと入っている。縁の方は少し色が濃くなっている。という標準的な個体です。

たまにある、不思議な表情も含まれていました。
ここはちょっと固く、ザラっとしており、ひび割れ感もあり、製品には使えません。
「ここは○○と呼ばれる表情です。」と説明できないのが悔しい。
「4枚目は傷大集合」

さっきでてきた「ふわっ」に近い風合いですが、今回は小さな傷の集合が目立ちました。

画質が落ちたからか、矢印の集合になってしまい傷が見えなくなってしまいました。
こういった傷は製品に入れることもありますし、避けることもあります。
傷の大きさや目立ち具合、製品のパーツによって使うかどうかが変わってきます。

あまりにも見えないので傷写真を追加。
ちょっと色味が異なりますが、こんな感じの傷でした。
縁が濃い5枚目

こちらもトラや色ムラがありますが、全体的に得に気になる事はない一枚。

縁の方は色が濃く、プルアップと呼ばれる現象も感じやすくなっていました。

山折りに革を曲げると、ブラウンがどっかに移動します。(プルアップ)
プルアップも個体によって個体差があるので、やけにプルアップが激しい時や、プルアップが弱い時もあります。
一般的には、革内部のオイルが移動する事でプルアップする。と言われておりオイルをたっぷりと含んだ革ならではの現象です。
絶対に使えないシミがある6枚目

全体的には綺麗めに見える6枚目ですが、手前の方に二か所。

絶対に製品には入れれないシミがありました。
シミというか汚れに近いもしれません。
7枚目はトラがくっきりと。

シボが少なめに見える7枚目の革には、くっきりとトラ皺が。

イタリアンレザーといえばトラ。
と言っても良いほど、綺麗なトラも沢山ありますが、トラ皺が深いものは製品に入れないように避けることもあります。
もちろん大きなくぼみになっていなければトラ模様も使いますし、むしろ「このトラをどんな風に、どこに持ってこようか。」とワクワクしながら裁断する事も。
とっても整っている8枚目。

どこの部分を使っても問題なさそうな8枚目の革。
トラもシボも程よく、誰からも嫌われなさそうな印象ですが、、

さすがに縁の皺の部分は丸ごと使えません。
この皺を横に引っ張ると「ビヨヨーン」となります。
9枚目は局所的ツル。

全体的に使いやすそうな9枚目ですが、画像左下の部分には

局所的ツルが。
一部分だけシボが無くなっているのが見えると思います。
記憶にはないですが写真を見た感じでは、革の裏面を触るとツルの中にある傷の部分にえぐれがありそうな予感。
えぐれている箇所がある場合は強度に影響しますので、製品には使う事ができません。
気が付いたら10枚目。

言葉にするのは難しいですが、10枚目はちょっと個性的なシボ感。
ただ凹凸があるだけではなく、色に濃淡があります。
写真で伝えるのは少し難しかった。
1枚1枚の革の個性は多少伝わったでしょうか。
20枚ほど積み重ねて写真を撮影したのですが、見ていただいている方にも限界があるかと思いますので、今回はきりよく10枚ご紹介させていただきました。
「革1枚に一言」形式で革をめくっていきましたが、実際の革は1枚の中にも沢山の個性が詰め込まれています。
避けなければいけない傷やトラがも沢山あり、避けなくてもいい傷やトラも沢山。
あくまで副産物である本革は天然の素材なので、作り手達も正直よくわからない部分もあります。
できるだけ無駄の出ないように、程よく革らしい風合いを混ぜられるように。
今後も完成をイメージしながら、鞄や小物を使っていただいている皆さまをイメージしながら。革を裁断していこうと思います。
イボーナ 加藤
コメントを残す