kutooについて考えてみる

こんにちは。いつもpelletteria ibonaのブログをご覧いただきありがとうございます。

 

そんなに前ではないと思いますが、いつごろからか”kutoo”という言葉を見かけるようになりました。インスタグラムやツイッターのタグとして始まり、新聞やネットの記事などいろいろなところで見かけます。

大げさでなく女性解放運動の一つであろうと私は感じています。解放運動というと女性の働く自由や職業選択の自由がすぐに思いつきますが、そういった小さなカテゴリの話ではなく女性自身の意見や希望を主張する自由、権利を尊重することが当たり前に保障される社会を作る運動です。

「女なんだから家で子育てをしていろ」とか「女なのになんでスカートじゃないんだ」といった考えはおかしいというのが今の風潮で、私もそうあるべきだと思います。先に挙げた”kutoo”も同じように、決めつけられるのではなく自由に選択できるべきだという主張から始まったのだと想像します。

逆に「デートで女性に払わせるなんてサイテー」みたいな風潮もありますがそれは今回は置いておきましょう。

 

この”kutoo”という考えの代表的なテーマ、「フラットシューズを履く自由を」「ハイヒールを履かない自由を」という点について靴屋さんの視点からちょっとした情報を付け加えていこうかと思います。

・ハイヒールは外反母趾になる

まずはこの意見について。靴屋の販売員としてまだまだ十分な経験を積んだとは言えないどころかぺーぺーですが、おそらく一般の人に比べてかなり多くの女性の足をしっかりと見てきたと思います。中には外反母趾でとても苦労をされている事が容易に想像できる方もいらっしゃいます。傾向として若い方で外反母趾の方は少なく、年齢を重ねるごとに外反母趾の方の割合が高くなっていくように思います。昔は靴の品質が今ほどよくなかったことやハイヒールがもてはやされ痛くても無理をして履いていたことが一因なのではと思います。ですが、実はハイヒールを履かない男性の方でも年齢を重ねると外反母趾になる方は増えていきます。女性でもハイヒールは履いてこなかったのに外反母趾になったという方もいるのではないでしょうか。おそらく外反母趾の原因の一つに筋力の低下があるからだと思います。

ハイヒールは構造上つま先側に体重の大部分がかかるため負担が大きくなります。それが積み重なれば外反母趾につながっていくことと思います。ですが外反母趾の原因とハイヒールはイコールではないと思います。

つまり、ハイヒールを履くと外反母趾になるという点については、十分な要因のひとつであるが、ハイヒールを履くと必ず外反母趾になるわけではなく、外反母趾の原因もハイヒールというわけではないと私は結論付けます。

・フラットシューズは楽。ハイヒールはしんどい

次にこの意見について。非常にツッコミを入れたくなる意見です。まずフラットシューズとはどんなものを指すのでしょうか。底がフラットなもの?それともヒールのないもの?ローヒールとはどう違うの?いろいろと疑問があります。

逆にハイヒールとはどんなものを指すのでしょうか。ウェッジヒールはハイヒールなの?ストーム付きのハイヒールは?そもそも何cmからがハイヒール?いろいろな矛盾も出てきます。

勝手な想像ですが、世の中に広まっているこの活動で使われるほとんどのテーマやキーワードたちは、実際に困っている方たちの言葉ではなく、話の中にある言葉から都合よく切り取られ、色々なメディアで誇張された言葉たちなのではないでしょうか。なので実際の当事者の言葉ではないと思います。色々な靴を履いた結果行き詰っているわけでもなく、もしかしたら困ってさえもない人が作り出した言葉なのかもしれません。こういった靴は嫌でこういった靴を履きたい。そのイメージがとても極端になっており、

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これがハイヒールで

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これがフラットシューズとなっている気がします。

ではこれはどうでしょうか

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底面はフラットではなくワンヒールです。1.5センチのヒールがあります。先ほどのフラットシューズはヒール部分は約3センチあります。どちらがよりハイヒールに近くどちらがフラットシューズに近いのでしょう。

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こちらの8センチヒールのブーツと

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こちらの5センチヒールのパンプスではどちらが履きやすいでしょう。長時間履いて疲れにくく足への負担が小さいのはどちらでしょう。

おそらく当事者の方はこれらについて嫌というほど理解されており、その苦痛を訴えているのだと思います。しかし言葉に乗っかっているだけの人には何一つ答えることが出来ないのではないでしょうか。私見ですが、”kutoo”運動の当事者たちはハイヒールを履きたくないのではなく美しさを過剰に重視したデザインのプレーンパンプスを履かされる事に疲弊してしまっているのではないでしょうか。

 

店舗で販売をしているとお仕事用の靴を買いに来られるお客様もかなりいらっしゃいます。その中で8センチヒールのプレーンパンプスを選ばれるお客様ももちろんいらっしゃいますが、ご自分が好きで美しいと思い選ばれるお客様です。ミドルヒールのストラップ付のパンプスや深く足を覆うものを選ぶ方の方が多い印象です。

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店舗でのお客様を見るとハイヒールのプレーンパンプスを強要する企業も今はかなり少ないのかなと思います。その方たちも他にあるローヒールを選ばないところを見ると、ある程度ヒールがあるものを美しく、履きたいと思っているのかもしれません。

この”kutoo”運動。ハイヒールを強要するなという主張に見えますが、実際はもっと楽で足への負担が少ない靴を選べる権利を認めてほしいという思いが本来なのではないでしょうか。

ぜひともそういう方には上のz3204、z3606のような靴。

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ハイヒールでなければならない場合でもこちらの靴を一度お試しいただきたいです。8センチヒールという前提ですが、甲で体重の多くを支えるので長い時間履いてもかなり楽かと思います。

 

混沌とした文章になりましたのでまとめます。ごちゃごちゃとした反論に見えるかもしれませんが、そうではありません。

・”kutoo”でよく見るキーワードは切り取られ誇張されたものなのではないか

・外反母趾の原因=ハイヒールではない

・必ずしもローヒールは楽でハイヒールはしんどいわけではない

・ストラップ付のものを履いてみてほしい

こんなところです。「ハイヒールを履け」という企業は今はかなり少ないとは思いますが、ゼロでないことは間違いないかと思います。この業界にいる身としては物申したい気分です。逆に「スニーカーを履かせろ」という主張も、受け入れるわけにはいかない企業があるのも間違いはないでしょう。冠婚葬祭の場では正装の参列者に対し従業員がスニーカーというのはちょっと、、、というのも理解できます。両方の意見は極論同士ですし相容れなすぎるのでぶつかると思います。履く時間にもよりますが、5センチ6センチくらいのミドルヒールが美しさや実用性など総合的に見てベストかと思います。ですが、本当のベストはそれに深いカットやストラップがあるものです。仮にもっと高いものをという場合、きちんと考えられ、改善が繰り返された靴であれば、ストラップ付や深いデザインの8センチヒールはプレーンな5センチヒールよりも履きやすく足への負担も少ないと感じる方もいるかと思います。ですので私の意見としてはまずストラップ付のものや深いデザインのものを選ぶことが出来るよう互いに譲歩しあうのが現実的ではないでしょうか。

 

どこまで行っても正解のない難しい問題ですが、誰にとってもプラスになっていくようにこれからも靴屋として情報を発信していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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