“ちょうどいい形”を探して。トーモショルダー製作裏話と想い。

こんにちは。
イボーナのまゆです。寒くなりすぎない内に再登場できたのでしょうか。
️今回は先日の”読み物”で少し登場した『トーモ・ショルダー』の製作裏話と好きなところを私から。
2025年の新作『トーモ・ショルダー』

この鞄の気に入っている所は、こばが多い所。そして、文庫本が収まること。大きくはこの2つです。
(“こば”というのは革の断面のことです。)
ここでこばが好きな理由を少し。
私は学生時代、被服学科で学んでいました。
様々な服、小物を製作してきましたが、布はほつれるので布端を始末していました。切りっぱなしにせず、綺麗に整える事が美しい作品につながる。それが私の中での当たり前でした。
こうして布に囲まれて生活していた私ですが、就職をきっかけに革製品に関わる事に。
革製品は、布と違って端が活きる素材である事に気付いた時はたまらんでした。
磨けばまた表情を変え、複数枚重なっているはずの断面も綺麗に仕上げるとまるで1枚の革のような顔をしている。
そこには多くの手間や時間がかけられていて、にも関わらず、主役ではない。しかしそれは確かに存在しており、作り手の想いが見える様な、そんなところに心惹かれました。細部にこそ神は宿る。作り手として、絶対に忘れたくない気持ちです。
少しと言いつつ、目いっぱい書いてしまいました。
️トーモショルダーの話に戻ります!!

今の形になるまで、いくつか試作し、やり直しを重ねてきました。
季節2つ分位でしょうか。気付けばちまちまとそんな時間を過ごしました。
先ほども書いたこばについては、革の厚み出すために一工夫。
どしっとした仕上がりにしました。

マチの形は少々、台形に。初めは長方形でしたが、長方形ではどこかまとまりが無く、広がった様に感じるのでこの形になりました。

実は正面も台形にする案もあったのですが、正面は台形にしてもなんだか居心地が悪そうで、初めの案であった四角に。
線を整えて親しみのあるシンプルな形に。分かりやすく、慣れ親しんだ形が故、生活に馴染むような存在になったのではないでしょうか。
️
それともうひとつ。今、ショルダーは30mm幅のしっかりとした革(鞄本体よりも分厚い革)を使用し、マチ側に付いています。
片側は金具、もう片側は縫製で繋がっていることで重たすぎない印象に。また、厚みのある革であるため、どしっとした”こば”とのバランスが保たれたように思います。

️これが決まったのは最後の最後
それまでは別の付け方で、背面に18mmのショルダーを付ける予定でした。
小さな構造の違いが鞄全体の印象をこんなにも変えてくる事は、ものづくりの面白さを改めて実感する機会となりました。

それと同時に、ほんの僅かな違いが良し悪しどちらにも容易に転ぶ。その事にこわさも感じます。しかし、これからの多くの経験がこのこわさみたいなものを小さくしていくのでは。とも思います。ものづくりには終わりがないです。
これからも、皆さんに少しでもibonaを楽しんで頂けますよう研鑽を重ねてまいります。
️意外と交わらない”作り手”と”お客さん”。
イボーナでは、工房で自分たちが製作したものを自分たちでお届けする。そんな環境も珍しいものなので、製作時のあれこれを読み物に綴ってみました。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
何か作り手の想いが伝わったのでしたらこの上なく嬉しいです。
持ってくださっている方はそのトーモショルダーを。または店舗にあるトーモショルダーを、良かったら見てみて下さい。

イボーナ まゆ









コメントを残す